正しい生命保険会社選びとは

財団法人 生命保険文化センターは、3年ごとに「生命保険に関する全国実態調査」を行っています。その18年度版調査によると、生命保険の世帯加入率は87.5%となっています。今回の調査では、生命保険の世帯加入率がややダウンしたことが注目されています。加入率が低がった原因としては、高年齢世帯の増加と、世帯年収の減少を主なものとしています。高年齢層世帯の場合、相対的に生命保険の加入率が低いため、その影響が出たと見られたいます。また、解約や加入しない理由として、保険料が払えない、といった、経済的理由の割合が多く、平均収入が下がったことの影響が出ているようです。生命保険商品の勧誘・販売に関して、規定も次第に厳しくなってきています。契約者と保険販売員の両者とも「確認書」にサインをしないと保険契約を結べない、という規定も近いうちに導入されるようです。確認書は、契約者の保障ニーズや払える保険料、希望保険金額などが明記されるようになります。契約者のニーズと異なる商品を販売するのを避けるのが狙いです。また、比較広告も今後は増えてくると見られています。同じ定期保険でも、自分のところの方が、他社より年間いくら安くなります、といった内容の広告はすでに解禁されているのですが、今のところは、生命保険各社でも自粛しています。それを、金融庁が基準を作成することで促進していきます。これにより、保険はもっとわかりやすくなると同時に、差別化も進んでいくことでしょう。生命保険会社の健全性を判断するための材料やデータは、格付け会社による格付け、ソルベンシ−・マージン比率、保有契約高増減率などによる判断の他、いろいろとあります。集めた情報の中でマイナス要素が多い会社は、要注意で、この会社の生命保険に加入しているなら、解約を考える必要も出てきます。しかし、こうしたところでの数値や記号だけで安全かどうかを判断するのは、少し気が早いとも言えます。保険会社との契約は長い期間続くものであり、この間に会社同士の合併や統合が行われたり、損害保険会社や銀行と提携することも考えられます。そうなれば、危ういと判断された会社も、健全性が大幅に向上するかもしれません。また、一般の人たちには知らされないデータと言うものもあります。例えば、生命保険会社は親密な関係にある銀行の株式を多く保有しています。株式の保有割合が多い銀行が破綻すれば、生命保険会社も突然大きなダメージを受けてしまうことになります。そのため、自分が契約している生命保険会社と親密な関係にある金融機関の経営状態にも注意する必要があるわけです。ただ、これ以外にも、自分に必要な保障がきちんと揃えられているか、営業マンがいかに親密に相談に応じてくれるか、なども、契約者として大切な判断材料です。生命保険会社選びは、様々な角度から検討して判断するべきです。

最近の生命保険業界の動き

生命保険は、通常、積み立てから給付までの期間が長期にわたることが多いものです。経済情勢の変化等に対応しながら、安全性、収益性、流動性の原則に基づき、契約者から受託した資産から、より多くの運用収益の獲得を目指すのが生命保険会社の理想的姿、といったところでしょう。生命保険会社の資産運用は大きく分けて、有価証券、融資、不動産の三つが対象ですが、それぞれの市場リスク、信用リスク、不動産投資リスクを、適切にコントロールすることが重要な経営課題でもあります。わが国には約40社の生命保険会社があります。グループ的には、国内の生命保険会社の他に、外資系を中心とするグループ、損害保険会社系列のグループに分けられます。最近の外資系・損保系各社は、TVCMなどによる積極的な宣伝活動、こまやかなコンサルティング営業を売り物にした地道な戦略などにより、新しい商品の開発・導入、顧客ニーズの細分化・差別化を進めています。これに対応するように、国内の大手生命保険会社も、生前給付型の医療保険をメイン商品に、「医療終身保険」や「生活習慣病保険」など、これまでは外資系生保に先行されがちだった医療保障の分野で、様々なヒット商品を市場に出しています。保険金未払い問題などの影響で,各保険業界とも信頼回復に向けてPR活動を行っていますが、その中で、損保では、日本損害保険協会が、契約者に対して保険の内容がニーズに合っているかを確認する「意向確認」について、消費者の理解を促進するテレビCMの放映も行い始めました。個人情報保護法の施行により、生保レディーのオフィスへの立ち入り制限が厳しくなっていることに対応し、生命保険各社は来店型店舗の開設を進めています。特に若い人をターゲットに、気楽に、待ち合わせの場所としても利用できるようなオープンな雰囲気の店舗作りが特徴のところが多く、セミナーなどの開催も行っていきます。銀行の窓口での保険販売も解禁されようとしていますが、生命保険業界からは、銀行による押し付け販売や顧客情報の流出などの問題を指摘する声もあり、今後も議論が続くものと見られています。最近は、生命保険業界で、女性社員による商品開発に注目が集まっています。生命保険会社の社員は、特に商品開発部門は男性社員が中心ですが、現場で商品を販売する営業部門は “生保レディー”と呼ばれる女性社員が中心です。女性の視点で開発した商品に対しては、生保レディーから「販売しやすい」と支持する声が多く、開発と営業の相乗効果につながっています。

日本の生命保険会社の今後

生命保険協会が発表した協会加盟38社の2006年4月〜11月の保険料収入を見ると、18兆211億円で、前年同月比0.1%減とほぼ横ばいになっています。全体の収入としては伸び悩んでいるのが現状のようです。日本損害保険協会が発表した損保協加盟22社の2006年9月中間期の正味収入保険料は、3兆7883億円で、前年同期比0.8%増えています。大手損害保険6社合計の2006年4月〜12月の収入保険料でも、4兆9054億円と、前年同期比0.7%増になっています。これは、景気回復もあり、輸出入の際にかける保険などの引き合いが多くなっていることが背景にある、としています。しかし、マスコミでも大きく騒がれた、保険業界で大量に発覚した保険金不払い問題の影響から、業務改善に向けて法令順守体制の強化を優先していることがあり、新規契約の獲得数は伸び悩んでいるのが実情のようです。最近の生命保険業界は、日本の生命保険会社の経営破綻が相次ぐ中で、生損保とも、外資系企業がの健闘が注目されます。とくに1998年4月の金融ビッグバン以降、自由化が進み、外資系保険会社が自動車保険や第3分野(傷害・疾病・介護保険などの生損保の中間)で独自の商品を販売し、急速な伸びを見せています。ドライバーの運転の安全性を考慮した自動車保険がその代表でしょう。テレビや新聞広告で大々的にPR活動を行い、電話1本で簡単に相談・契約できるようなシステムもあり、一気に広がりました。これが、日本の損保の自動車保険の商品見直しにも繋がることとなりました。また、外資系企業による日本の生命保険会社買収の動きも進んでいます。こうした中、外資系生命保険会社の中で最大規模の会社は、総資産3兆円を超え、がん保険で9割のシェアを占めるようになっています。1974年10月に設立され、同年11月に日本で最初にがん保険を発売し、現在は、日本の生命保険会社と提携して、介護保険でも独走状態となっています。また、早くから女性の戦力化を手がけており、女性活性化企業としても知られています。一方で、「県民共済」や「都民共済」などの「都道府県民共済」の加入件数が伸びています。一般の生命保険にあたる「生命共済」は、今や、生命保険会社の最大手を上回るくらいにまでなっています。保険金の不払いなどで大手生命保険会社が軒並み契約者を減らす一方、月1000—4000円の割安な掛け金で支持を得ているのです。県民共済などの都道府県民共済の良いところは、やはり、掛け金が安いということと、払い戻しがあるという部分でしょう。単純で分かりやすいというのが、共済の魅力です。生命保険会社も、今後、こうしたところも見直すのが課題かもしれません。